投稿

3月, 2021の投稿を表示しています

人の暮らし(2)(People's Days) (2)

イメージ
上の2枚の写真は、中流家庭と形容できる居住区の様子です。築10年は経っているのかな、というような家々もかなり見られます。 フィリピンの生活階層を、仮に分類してみると、まず高級・上流・中流・下層・極貧層といった感じです。 ごく大ざっぱに各層の特徴を挙げてみると、高級は上流のはるか上で、重々しいゲートを入ると、2,300メーターも続く色とりどりの石畳の道の先に家の玄関が見えてくる。駐車場には高級車が4,5台、プールもある。家というよりは、お屋敷、というよりも大邸宅がどこまでも軒を拡げている。 上流は高級の縮小版。 中流はきちんとした家構えで、車や種々の電化製品を保有している家庭も少なくない。 下層は板張りや石造りの簡易住居。極貧は板張りの、単に風雨よけのような空間でトイレがない家も多い。各層の間にも、細かく分ければ、上中下があります。 どこで線引きをして居住環境を分類するかは、実のところ、難しい問題です。階層の区別自体、大して意味のないことかもしれません。 人びとの暮らしが年々向上していくにつれて、各層が徐々に底上げされていけば、下層の一部は極貧に、中流の一部は下層にと格下げされてしまうこともあり得ます。 非常に高い確率でいえることがひとつあります。 高級階層は安穏として高級に留まり、極貧階層は苛酷にも極貧から抜け出すことができないという現実です。 フィリピン経済を支配している巨大財閥ーー中華系とスペイン系ーーは自分たちの利権を世襲から世襲へ、子々孫々、さらにまたその子々孫々へとつないでいる。 政治家もまた同様。高級・特権階級だけが、「露骨」という言葉が思わず赤面してしまうほどの露骨さで、永永として栄えていく社会構造になっています。 極貧層の人びとが世に出るチャンスは万に一つもないといっても過言ではありません。 Sikad(「シカッド」または「ペディキャブ」)という乗り物があります。(上の写真) 自転車に側車をつけて客を運ぶ「自転車タクシー」です。バイクに側車をつけたのが、トライシクル。トライシクルのさらに下に位置する商売です。 トライシクルもシカッドも商売の形態は同じです。 トライシクルのドライバーはオーナーに1日150~200ペソを払って車両を借りる。借り賃を超えた分が自分の稼ぎとなる。数人のドライバーに訊いてみたところ、1日の収入は350~550ペソくらい。ドライ

人の暮らし(1)(People's Days) (1)

イメージ
ある朝の6時半ごろ。本通りを歩いていると、このような脇道の路地が目につきます。左側には狭い間取りの家々が密集しています。 日本には今でも長屋風情が残っているのでしょうか。 長屋の衰退とともに、人びとのつながりも希薄になっていきました。 かつての日本の長屋風景が当地ではあちこちに見られます。 フィリピンは近年、目覚ましい経済発展を遂げています。街には次々とコンドミニウムが建設されています。裏を返せば、下層階級の生活地域が否応なく取り壊されているということに他なりません。 遅かれ早かれ、写真にあるような、人のぬくもりを感じさせる長屋居住区は漸減していくでしょう。 上の長屋式住宅は、下層と中流の中間よりもやや上の階層環境と言えるでしょう。 街町に出る時は今までは主にハバルハバル(バイク・タクシー)を利用することが多かったのですが、なかには運転が雑なドライバーもいて、ときにはヒヤリとするような体験をすることもありました。もし事故でも起こされて怪我をしても、治療費を出してもらえることは万に一つもありません。怪我損です。 最近はトライシクルに乗るようにしています。バイクに側車が付いている乗り物です。ハバルハバルよりは少しは安全です。もっとも、事故に遭ったりしたときの保証は、トライシクルでもまったく期待はできません。 さて、出かけるとするか。トライシクルが来る。まずは値段交渉。目的地までの相場料金を、ある程度頭に入れておく必要があることはいうまでもありません。 「スーパー・メトロまで」 「いくら出す?」開口一番、ほとんどのドライバーが訊いてきます。どう見ても私は外国人ですから。 「いくらなら行く?」 「あんた次第だ。いくら出す?」 「いくらなら行く?」 「あんたにまかせるよ」 らちがあかない。毎回、毎度、こんな感じです。たとえば、50ペソくらいの料金が普通でも、最後は100ペソ払え、というようなことをほざくドライバーもいます。 外国人だからといって、なめちゃいけない。1ペソでも高くふっかけられたら、即、「No!」と断ります。 本通りを歩いていると、このような小ぢんまりとしたこぎれいな商業施設の一角に出くわすことがよくあります。薬局・クリニック・コンビニなどが整備されていて、生活の利便性を高めてくれています。クリニックは、私が目にしたかぎりでは、歯医者が圧倒的に多い。 南国を象徴す