人の暮らし(1)(People's Days) (1)

ある朝の6時半ごろ。本通りを歩いていると、このような脇道の路地が目につきます。左側には狭い間取りの家々が密集しています。



日本には今でも長屋風情が残っているのでしょうか。長屋の衰退とともに、人びとのつながりも希薄になっていきました。

かつての日本の長屋風景が当地ではあちこちに見られます。

フィリピンは近年、目覚ましい経済発展を遂げています。街には次々とコンドミニウムが建設されています。裏を返せば、下層階級の生活地域が否応なく取り壊されているということに他なりません。
遅かれ早かれ、写真にあるような、人のぬくもりを感じさせる長屋居住区は漸減していくでしょう。
上の長屋式住宅は、下層と中流の中間よりもやや上の階層環境と言えるでしょう。

街町に出る時は今までは主にハバルハバル(バイク・タクシー)を利用することが多かったのですが、なかには運転が雑なドライバーもいて、ときにはヒヤリとするような体験をすることもありました。もし事故でも起こされて怪我をしても、治療費を出してもらえることは万に一つもありません。怪我損です。

最近はトライシクルに乗るようにしています。バイクに側車が付いている乗り物です。ハバルハバルよりは少しは安全です。もっとも、事故に遭ったりしたときの保証は、トライシクルでもまったく期待はできません。

さて、出かけるとするか。トライシクルが来る。まずは値段交渉。目的地までの相場料金を、ある程度頭に入れておく必要があることはいうまでもありません。

「スーパー・メトロまで」

「いくら出す?」開口一番、ほとんどのドライバーが訊いてきます。どう見ても私は外国人ですから。

「いくらなら行く?」

「あんた次第だ。いくら出す?」

「いくらなら行く?」

「あんたにまかせるよ」

らちがあかない。毎回、毎度、こんな感じです。たとえば、50ペソくらいの料金が普通でも、最後は100ペソ払え、というようなことをほざくドライバーもいます。外国人だからといって、なめちゃいけない。1ペソでも高くふっかけられたら、即、「No!」と断ります。


本通りを歩いていると、このような小ぢんまりとしたこぎれいな商業施設の一角に出くわすことがよくあります。薬局・クリニック・コンビニなどが整備されていて、生活の利便性を高めてくれています。クリニックは、私が目にしたかぎりでは、歯医者が圧倒的に多い。


南国を象徴する風景の一つです。種々の果物の屋台。バナナ1キロで50~70ペソくらい。(110円~160円くらい)散歩の帰りによくバナナを買って、ムシャムシャと食べながら歩いていると、顔見知りの連中から声がかかります。

「Maayong buntag, Amigo」(「マアヨング・ブンタッグ、アミーゴ」(注)

朝の7時ごろ。ある日の月曜日。ある目抜き通りの交差点。出勤時間のピークに近い風景。

散歩道には歩道がないために、車、バイクなどに気をつけて歩かなければなりません。

もうひとつ、要注意は、野良犬です。道端の残飯を5,6匹の野犬が貪っている。

狂犬病で命を落とすフィリピン人は、フィリピン保健省の資料によると、年間で400人前後もいるそうです。
「犬も歩けば棒に当たる」とはよく聞くたとえですが、当地ではまさに「人が歩けば犬に当たる」

首輪をして家の敷地内で飼われている犬は非常に少ない。多くの犬が野犬化して野放しにされています。普通に歩いている分には噛まれる心配はまずありませんが、へたにちょっかいを出したりすると、ガブッとやられたりします。

野犬に対しては、政府も民意も関心が低い。したがって、関係省庁の対処は、当地では皆無に近い状況です。

One of the things you have to pay attention to in the Philippines is stray dogs.
Every year, about 400 people reportedly die from rabies.  But no need to overworry unless you tease them carelessly.

Just take a look at the above two pics.  Row houses or Nagaya in Japanese are seen here and there in Cebu.  They remind us of the warmth of happier homes
in good old days.

Come and see the narrow lanes off the main roads if you have opportunities to visit Cebu.  You will not have any difficulty to get to row houses, walking and strolling around the streets.

(注)Amigoーー友だち 

(お知らせ)
下記はトッポジージョさんのブログのURLです。今回の「青葉の笛」を傾聴してみてください。薄れゆく日本人の情緒に触れることができます。



   

コメント

  1. 理路庵先生101回目のブログ更新ありがとうございます。
    日本では長屋を見かけなくなりましたね。上野界隈の下谷や根岸などに残っているぐらいでしょうか。
    長屋の住民は下層と中流の少し上ですか、するとここに住めればまあまあの生活なんですね。
    写真の路地にある溝で思い出したのが日本の時代劇に出てくるどぶ板長屋です。やはり路地の真ん中に溝がありました。
    私はマンション暮らしなので『現代の長屋』に住んでいるようなものですが、近所付き合いは希薄です。
    トライシクルの運転手とのやり取りは『お国柄』なんですね。真剣勝負なのかなと思いました。
    そしてスペイン語の『アミーゴ』が日常会話に残っていることにこの国の歴史を感じました。フィリピン人はスペインに郷愁に似た感情を持っているのかと思いました。
    先生、路地裏に入り込んで野良犬に噛まれ無いようにご注意下さい。
    次回を楽しみにしています。

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