これからの世の中・雑感


ある朝、散歩しているときに出くわした家です。


【地球の変化・人間は鈍感】

ーーーー他の生物は地球の変化を察知して北上したり、新しい食べものを探したりしているのに、服や冷暖房で温度管理・調整ができる人間は鈍感になっています。人類も地球上の生物だという大原則を忘れてはいけない。
 個々人がたった一回の生をどう生きるか、自分で考え、自分が生き物の一員であるという身体感覚を取り戻すーーーー

ーー田中 泯ーー(注)

今から7,8年前の「文藝春秋」に掲載された小エッセイの一部です。


去る3月22日の午後3時から、60歳以上と医療関連を除く学生は外出禁止の通達がフィリピン政府から発出されました。いつ解除されるのか分かりません。

2週間ほど前から、私の住むワラワラ村の入り口に検問所が設置されました。村民以外の入村を禁じるためです。
幸いなことに、ワラワラ村とその周辺地域では、コロナ感染者は一人も出ていません。

サン・ビセンテのバランガイ(町役場)は、各村々の住民を6,7家庭ごとにグループ分けした一覧表を、「コロナウイルス感染防止対策」が記載された冊子とともに各家々に配布しました。

各グループごとに責任者を置く。責任者は、自分のグループの家庭が、その対策を遵守しているか否かを監視する役目を担うのです。また、昼夜を問わず交代で、違法に入村する人がいないかを検問所で見張りの番もするのです。

ワラワラ村はたくさんの緑に囲まれています。家々の距離は密集とはほど遠く、空間だらけです。日本で言われる「3密」がない分だけ感染の危険は低いと言えるでしょう。

さて、本題。
今回のコロナ危機は、戦後の世界が経験したことのないほどの混乱をもたらしています。終息した折にはーーいつになるか分かりませんがーー世界の経済損失は甚大な額にのぼるでしょう。中小の会社などは、文字どおり、死活問題です。倒産する企業も出ていますね。

ありとあらゆる社会活動が停滞しています。コロナウイルスを抑えこむためには、人の移動を制限しなくてはなりませんから。ここまで発展してしまった人間の生活環境を、今さら縮小することは不可能です。

これからでも遅くはありません。できる限り生活を「素朴」に戻しませんか?
何をもって素朴と言うのか。難しい問いです。皆さんお一人おひとりでお考えになってみてください。

ちなみに、私の場合の「素朴」な生活とは、生きるために最低必要な物以外は持たない、ということです。移住する前に決めたことです。

人間の欲望には際限がなく、利便性を高め、経済的利益を一目散に追及する。分かります。IT(情報通信)産業をさらに発展させて、ぎりぎりまで効率を求める。これも分かります。しかしながら、その先にあるモノは、はたして、なんじゃらほい。


「たかが経済」じゃないですか。 「たかが経済」ごときに、それよりももっと大切な「人の在り方」を犠牲にしても、いいんじゃろかね。

今のまま世界が見境もなく進んでいくと、人の心が少しずつ摩耗してしまうと思うのです。こしゃまくれた、ゼニ勘定ばかりする人間もどきばかりが増えていくような気がします。

地球上の生態系が大きく変容しています。原因の主因は、森林伐採をはじめとする自然破壊。森や山や海を、これでもか、これでもかと傷めつけていくと、必ずしっぺ返しを食いますよ。
「腹八分目」をはるかに超えてもなお、経済を推し進めていけば、必ずその報いを受けますよ。コロナウイルスとは異なる別種のウイルス感染が、今後も新たに発生する気がします。

それでは本日は、ここまでにします。そろそろ、喉が渇いてきました。ビール(サン・ミゲル)の時間になりました。
では、ごきげんよう。体調にはくれぐれもご留意してください。

*注: 田中 泯ーー1945年生まれ。多彩な活動をしている。なかでも、舞踏家として世界から高い評価をうけている。





コメント

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  2. お住まいの地域は比較的は比較的安全のようですね。

    日本も一部の大都市を除いて緊急事態宣言は解除されましたが、未だにPCR
    検査もろくに出来ない有様ですル。
     自分モ5月13日水曜日に39度の発熱があり毎日、医者通いをしていますが、コロナではないようです。

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