神経過敏社会(3)

庶民の食堂「カレンデリア」   街町のいたるところにあります


「節度」そして「恥」について

自分の思うことを自由に発言することができる。日本は、この「当たり前のこと」を当たり前の権利として行使することができる国です。

SNSを取り巻く日本の社会を見てみます。

一般の人たちはもちろん、政治家・芸能人・スポーツ選手・評論家、そのほか、わけのわからない連中などが無責任な発言をSNSに毎日、汚泥のようにタレ流しています。こうした風潮が蔓延してしまった根本的な原因について、チョット考えてみました。

人の社会には歴然とした区別があります。
区別と差別は全く違います。区別というのは、異なる社会組織の中で、ある一定の秩序を保つために必要なものです。たとえば、政治家は政治家らしく、芸術家は芸術家らしく、医者は医者らしく、芸能人は芸能人らしく、スポーツ選手はスポーツ選手らしく、評論家は評論家らしく、ヤクザはヤクザらしく、わけのわからない連中はわけのわからない連中らしく、それぞれがそれぞれの分野でそれなりに自分の本分に専念していけばいいと思うのです。

人の職業には、いかにも、さもありなんという、その職業にふさわしい「顔立ち」というものがあります。政治家は政治家らしい顔、医者は医者らしい顔、芸術家は芸術家らしい顔。
いつの頃からか、どの職業でも皆、顔立ちが同じようになってきた感じがします。普通の会社の万年係長・万年主任のような風貌が、政治家の中にも多く見られるようになりました。

芸能人と呼ばれている人種。彼らのうちの相当数は、品性の「ひ」の字もない下種下人(げすげにん)といったら下種下人が怒るほどの下種下人以下と呼ぶにふさわしい。
芸能記事は、大体において、どの国でも大差ありませんが、日本のそれは余りにも下劣でガキのレベルといってもいい。
一例が、不倫記事。誰かが誰かと不倫をした。それについて、さまざまな階層の"有名人”が、ああでもないこうでもないと、まるで中学生がいうようなことをSNSに流している。二十歳もとうに過ぎたいい歳をした男と女が、不倫をしようが何をしようが、そんなことはさして取り立てるほどでもないでしょうに。

前東京都知事の舛添にいたっては、自分のチマチマとした生活用品を公費で賄い、世間の嘲笑を買って辞任に追いこまれました。舌の根も乾かないうちに、テレビのクイズ番組などに出演して媚びを売ったりしている。
SNSで小池現都知事を酷評したりもしている。(小池さんを応援しているわけではありません。学歴詐称の問題が取りざたされていますが、その程度ではびくともしないでしょうね)
舛添は自分が世間にさらした恥を忘れてしまったのでしょうか。いったいどういう神経をしているのか。教育はあるが人として持つべき肝心の教養のカケラもない愚か者としかいいようがありません。

「ワイドショー」なるテレビ番組がこの世に現れてからもう何十年経ったのでしょう。芸人などを司会者に立てて、ゲストには前スポーツ選手やら落語家やら役者やらを揃え、政治問題・社会問題などを喋らせる。こうした現象は日本特有のものです。

100歩譲って、それ自体は決して悪いことではないとしても、お粗末なのは、彼らの意見の稚拙さです。専門家ではないにしても、あまりにも下劣な意見を得意げに話す。耳を傾ける内容などあるわけがない。それでいて、相応のギャラを、臆面もなく貰う。テレビ局側の方も知恵がなさすぎます。芸人たちを使えばギャラも比較的安く上がり、番組の制作費も節約できる。たぶんそんな理由でしょう。

たとえば、落語家が芸を磨かずに、畑違いの分野に必要以上に時間を費やしてうつつを抜かしている。自分の本分を忘れて、本物の芸が育つでしょうか。これは何も落語家だけにとどまりません。今の日本のあらゆる層についていえることです。

あれよあれよというまに日本社会は、良くも悪くも、均一化してきています。社会の各層間の垣根がほとんど失われてしまい、政治家もわけのわからない連中も、区別不能の同じような顔立ちに変貌しつつあります。

SNSの浸透と社会の均質化とが同時進行していくにつれて、クソも味噌も一緒くたになってしまい、分をわきまえることなく、社会の枝葉末節の問題をSNSに書きこむ。
多種多様の人びと、意見などが世にあるのは当然で健全といえますが、自分の名前や顔が外に出ないからといって、無節操に無思慮に、暴言を吐いていいという屁理屈はとおらない。
いわゆる有名人にしても同様で、世間に名を知られていて影響力がある分だけ、その発言には責任を持つべきです。

節度も恥もない愚劣極まりない醜い顔立ちの日本人がどんどん増えてきています。他の国々もまた日本と同じような問題を抱えています。いまや「SNS総白痴化」は世界病といっても過言ではありません。







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