新・人の暮らし(4)・フィリピンの洗濯事情


 
ある村の風景です。適当な樹々に物干しロープを掛けて、洗濯物を干します。空き地が格好の物干し場になっています。

えっ? 女物のド派手な赤やピンクの下着類も外に干してあるのかって?
あるわけないでしょう! 
南国のフィリピンで、いかに開放的なフィリピーナが多いといっても、変態の出歯亀野郎はいるんですよ!! 

フィリピンだからといって、洗濯物をどこにでも自由に外に干していいわけではありません。都市部のコンドミニアムなどでは、美観景観を損ねるという理由で、市条例の規制を受けることがあります。

日本では当たりまえの物干しざおは、国それぞれの居住環境にもよるのでしょうが、ある物知り人によると、他国では、あまりお目にかかれないようです。

フィリピンの洗濯事情については、私の知るかぎり、小金持ちでも富裕層でも、たとえ洗濯機があっても、手洗いが主流といっていいでしょう。

その主な理由として、とにかく、ほれぼれするほど、きれいになります。洗濯機で10回洗っても、手洗いには勝てません。しつこい汚れも心配ない。
洗濯機は一回の洗濯容量に限度があり、大家族の場合だと、何回かに分けて機械を回さなくてはならない。その点、手洗いなら一連の手作業を中断することなく、流れ作業でドンドンドンドコ進めることができる。
またフィリピンでは電気料金が日常の物価指数に比べて割高なので、手洗いのほうが経済的です

手洗いの段取りは、大きめのタライを最低2つ、洗濯板、汚れ落としのブラシに洗剤などを用意する。ひとつのタライで洗濯をし、もうひとつのタライで洗剤をすすぎ落とす。

全部洗い終えたら、ギュウギュウと絞らないまま、干す。
ボタボタ、ダラダラと水滴が止めどなく流れ落ちる。そんなことは、気にしない。あとは、強い陽射しにまかせればいい。

雨期に入ると、突然の降雨に見舞われることもよくあります。乾く寸前の洗濯物がびしょびしょになってしまう。でも、そんなことは、気にしない。
止まぬ雨はないから。また強烈な陽が射すのを待てばいい。

日本と同じようなコインランドリーが、セブ島にも街町にあります。ほぼ常に何人かの客の姿を見かけます。

また一方では、洗濯屋もよく目にします。コインランドリーのものよりも少し大きめの洗濯機器を備えていて、洗濯物1キロあたりいくらの商売をしています。
場所によって料金はまちまちですが、セブではだいたい平均して、キロ当たり30ペソ前後(70円くらい)から利用できるそうです。
洗濯物を預けて、指定された時間に受け取りに行く。洗濯、乾燥、そしてきちんと畳んでくれます。アイロンがけなどは別料金になります。

洗濯機を購入したりコインランドリーや洗濯屋を利用することができる中間層のフィリピン人が増えてきているとはいえ、ほぼ大多数は手洗いの洗濯に割く時間のほうが、圧倒的に多いそうです。

経済的に多少とも余裕がある家々では、ひとりあるいは複数のメイドさんを雇って、洗濯やら家事のほとんどを任せることができますが、困窮家庭ではそうはいきません。

プラプラと散歩をしていると、年端もいかない女の子が、一心に洗濯をしている姿をよく見かけることがあります。

私の知人のフィリピーナがよく言っていました。
「たいへんなのよ、洗濯はね。大人でも疲れるのに、子供ならなおさらよ。あたしは8歳のときからず~と、洗濯ばかり」

フィリピン人の「ふところ具合」が全体として劇的に向上しても、手洗いは労力を要するとしても、やはり、これからも中心的な役割を果たすのは、洗濯機ではなく、手洗いにとどめを刺すにちがいありません。

日本と違ってフィリピンでは季節に応じて衣更えをする必要もなく、秋や冬場の厚手の衣類も用なしで、一年中軽装で生活することができます。
衣服代がほとんどかからないので、私のような少ない年金生活者にとっては、ほんとに大助かりです。

軽装で済むということは、洗濯も軽装類が大半を占めるわけです。時と場合に応じて、タライで、ちょこチョコと洗うこともできます。

Tシャツ・短パン・サンダル姿で、サンミゲルビールでも呑みながら、それに加えて、朝寝朝酒朝湯が大好き、ときたら、さすがの小原庄助さんも顔負けだ~、でしょ !

2023年4月28日・記

コメント

  1. 匿名21:27

    俺のフィリピン人の嫁は洗濯機があるのにタライを2つ並べて手で洗うことがある。
    シーツのようなガサのある物は洗濯機を使っているけど下着などの小物は手で洗っているらしい。
    よくよく見てみると俺の糞がこびりついたパンツをブラシで洗っている。
    洗濯機で嫁の洗濯物が俺の糞がついたパンツと一緒に洗われたら夫婦でも耐えられんのやろ。そりゃそうよなあ。
    (Basak の隠居より)

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  2. 「Basak の隠居」さま

    匂い立つようなコメントに深謝。
    亭主のクソがついたパンツを手洗いで洗濯してくれるような、いい奥さんでよかったですね。ガミガミと文句を言われたことはないんですか?
    考えてみれば、これも夫婦間の絆のひとつの証かもしれませんね。
    これからも夫婦円満にお過ごしください。

    (気がむいたときに、月に2回くらいのペースで、ブログを書いていきます。よろしくお願いいたします。)

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  3. 匿名21:51

    実に長閑な風景ですね。洗濯物を干すロ-プを張るのにおあつらえ向きな立木があるものですね。
     15年程前にシンガポールで見かけた光景は高層アパートの窓から斜め上に随分と長い物干し竿を出して沢山の洗濯物を干していました。よく見たら日本の建物にあるベランダが無いので止む無くあの様な干し方なるのかと思いました。
     それにしても殆ど全部が夏物の洗濯物とは言え、基本手洗いとは大変な大仕事ですね。自分も足の浮腫みが酷いため弾性包帯を巻いており洗濯機で洗うと弾性が弱くなるので手洗いする様に言われ4.5mの包帯を洗っていましたが一ヶ月も経たずにめげてしまい洗濯機を使う様になり、ダメになったらまた買えば良い

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  4. 匿名22:01

    上記の続き
     なったらまた買えば良いとの結末でした。8歳から洗濯している方には頭が下がります。生活水準はまだまだ厳しいですね。

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  5. 匿 名 さま

    コメントをありがとうございます。
    フィリピンでは圧倒的多数の人びとが手洗いによる洗濯を常としています。
    例外としては、外国人と結婚したフィリピーナで、メイドさんがいない家々では、洗濯機を使う頻度が高いようです。

    小金持ちのフィリピン人で高級車を2台も持っているのに、洗濯機ではなく手洗いだけに頼っている例もあります。洗濯専門のヘルパーさんを雇っているのです。
    匿名さんが書いておられるとおり、機械洗濯では生地の材質に影響を及ぼしかねないような場合には、手洗いの効果が発揮されるでしょうね。
    たしかに手洗いは重労働ではありますが、先進国においても、手洗いによる洗濯が見直されることもあるのではないかと思ったりしています。

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